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仕上げ磨きのときに気づいた、前歯の重なり
夜の仕上げ磨きで、上の前歯が斜めに重なっている、隣の歯が外へ出てきている——そんな変化に気づくと、様子を見てよいものか迷いますよね。生え変わり期に一時的な傾きが見られることもあれば、顎のスペース不足が背景にある場合もあり、その後の経過は変わってきます。見極めの目安と、受診を考えたいサインを整理します。
この記事の要点まとめ
- 顎のスペース不足による重なりは自然に整いにくく、状態に応じた見極めが大切です。
- 重なりをそのままにすると磨き残しや噛み合わせへの影響につながる傾向があります。
- 成長期の段階で相談することで、顎の発育を活かした治療法を検討しやすくなります。
子供の前歯の重なりや八重歯は自然に治る?放置の可否を見極める基準

「まだ成長期だから、そのうちスペースができて整うのでは」という期待と、「相談の時期を逃さないだろうか」という気がかり。8歳前後のお子様を持つ保護者の方から、当院でも同じご相談をよくいただきます。結論から言うと、しばらく経過を見ていけるケースと、スペース不足が背景にあるケースでは、たどる道筋が異なります。まずはその違いから。
生え変わり期特有のすき間や傾き(みにくいアヒルの子期)と重なりの違い
上の永久歯の前歯が生えたばかりの頃、真ん中にすき間が空いたり、歯が外側へ広がるように傾いたりすることがあります。「みにくいアヒルの子期」と呼ばれ、7〜9歳ごろに見られやすい一過性の状態です。その後、犬歯が生えてくる力で前歯が内側へ寄り、すき間が狭まっていく流れをたどることも少なくありません。
一方、気に留めておきたいのが、歯と歯が重なったまま並んでいる叢生(そうせい/乱ぐい歯)です。すき間があるのは並ぶ余地がある状態ですが、重なりは並ぶ場所が足りていないサイン。意味合いが逆と考えると分かりやすいでしょう。レントゲンで顎の骨の中にある永久歯の位置や数を確認すると、今後どれくらいスペースが要るかを推し量る手がかりになります。
顎のスペース不足による叢生や八重歯が自然に整いにくい理由
永久歯は乳歯よりひと回り大きく、すべてが並ぶには顎の幅が育っていることが前提になります。近ごろは柔らかい食事が増えて噛む回数が減り、顎への刺激が不足しやすいとも指摘されています。口呼吸や舌の位置の癖も、内側から顎を広げる力が働きにくくなる一因と考えられています2。
歯列の中で犬歯は生えてくる順番が遅く、先に並んだ歯で場所が埋まっていると外側へはみ出しやすくなります。これがいわゆる八重歯です。歯そのものが小さくなることはないため、スペース不足による重なりが自然に解消していくとは考えにくいとされています。とはいえ成長期であれば、顎の育ちを促す方向から働きかける余地が残っています。経過を見てよいのか、対応を検討する段階なのか。その見極めのために、一度現状を把握しておく意味があります。
子供の前歯の重なりや八重歯を放置する3つのリスク
重なりをそのままにしておくと、見た目の印象だけでなく、日々のケアや顎の成長にも影響が及ぶことがあります。保護者の方に知っておいていただきたい3つの側面を挙げます。
重なった部分に汚れが溜まりむし歯や歯ぐきの炎症を招く
歯が前後にずれて重なっていると、歯ブラシの毛先がその隙間まで届きにくくなります。夜の仕上げ磨きを丁寧にしていても、どうしても磨き残しが生じる部分が出てきます。プラーク(歯垢)が長くとどまれば、むし歯や歯肉の炎症が起こりやすい環境になると考えられています2。
当院では、重なりのあるお子様にデンタルフロスや部分用の小さな歯ブラシの使い方を実演でお伝えしています。歯並びを整えるかどうかの判断とは別に、今の状態でむし歯を防ぐ工夫は今日から取り組めます。
噛み合わせの乱れや口唇圧・舌圧のバランス悪化につながる懸念
前歯は食べ物を噛み切る役割を担う歯です。重なりや傾きがあると噛み切りにくく、無意識のうちに片側だけで噛む、奥歯に頼るといった癖がつくことがあります。顎の骨は噛む刺激を受けて育つとされるため、使い方の偏りは成長のバランスにも関わってきます。
また歯列は、外側から唇や頬の力、内側から舌の力を受け、その均衡の中に収まっています。口が開いたままの時間が長い、舌を前に押し出す癖がある。こうした場合、均衡が崩れやすくなると考えられます。当院では舌圧測定器や口唇圧測定器を用い、筋機能の状態を数値として確認する方法を取り入れています。
永久歯が生え揃った後に抜歯を伴う本格矯正が必要になる可能性
小児期は顎の骨が成長している時期にあたり、幅を広げる方向の働きかけがしやすい段階です。この時期を過ぎ、永久歯が生え揃ってから歯列を整える場合は、骨格の成長がほぼ完了しているため、スペースをつくる手段として便宜抜歯が検討対象に入ってくることがあります。
もちろん、小児期に取り組めば抜歯を避けられると言い切れるものではありません。歯と顎のサイズ差が大きい場合は、成長を活かしても十分なスペースを確保できないこともあります。ただ、選べる方法の幅が広い時期に相談しておくことで、将来の選択肢を残しやすくなるという点は、知っておいていただきたいところです。治療期間や総費用の面でも、段階を踏んだ計画を立てやすくなります1。
速やかに歯科受診を検討すべきサインと家庭で意識したい習慣

「いつ相談に行けばいいのか」を年齢だけで線引きするのは難しいものです。お口の中に現れる具体的な兆候を手がかりにすると、判断しやすくなります。
学校健診での指摘や乳歯の早期脱落など受診を急ぎたい目安
次のような状態が見られたら、早めに歯科医院で確認しておくことをおすすめします。
- 学校健診で受診をすすめる用紙(COやGOなどの記載を含む)を持ち帰ってきた
- 乳歯が抜けたのに3〜6ヶ月経っても永久歯が出てこない
- 乳歯がぐらつかないまま、その内側や外側から永久歯が生えてきた
- むし歯や外傷で乳歯を早い時期に失った
- 上下の前歯が噛み合わない、または下の歯が前に出ている
- 永久歯の生えてくる順番が左右で大きく違う
学校健診の用紙は「今すぐ治療が必要」という意味とは限らず、経過を確認したほうがよい状態を知らせる役割を持ちます2。受け取ったらそのままにせず、一度診てもらうと今後の見通しを立てやすくなります。乳歯を早く失った場合は、隣の歯が空いた場所へ寄ってきて、後から生える永久歯の場所が狭くなることがあるため、スペース保持の観点から確認しておきたいところです。
口呼吸・舌癖の改善やよく噛む食事による顎の発育サポート
家庭で取り組めることもあります。テレビを見ているときや何かに集中しているとき、口が開いていないか。食事中に舌が前に出ていないか。まずは観察から始めてみてください。口呼吸が習慣になると、舌が本来あるべき上顎の位置から下がり、顎が横に広がりにくくなると考えられています。
食事では、根菜やきのこ、噛みごたえのある肉類などを取り入れ、一口ごとにゆっくり噛む時間を確保したいところ。硬いものを食べればよいというわけではなく、繊維を噛みつぶす動きを何度も繰り返すことに意味があるとされています。当院では管理栄養士による離乳食教室を開くなど、食べ方と顎の育ちを結びつけたサポートを続けてきました。姿勢も見落とせません。足が床につかない状態での食事や、頬杖、うつぶせ寝は口元へ力がかかる一因になります。必要に応じてMFT(口腔筋機能療法)というトレーニングをご案内することもあります1。
藤沢市でお子様の歯並び相談をお考えの保護者の方へ|治療時期と費用の目安
顎の成長を活かす第1期治療の概要と土日診療の重要性
混合歯列期(乳歯と永久歯が混在する時期)に行う第1期治療は、顎の育ちを利用して歯が並ぶ土台を整えることを目的としています。永久歯が生え揃ってから歯の位置を細かく調整する第2期治療とは、狙いが異なります。
通院を続けられるかどうかも、現実的な検討材料のひとつ。当院は平日9:30〜18:00、土日9:30〜17:00で診療しており(祝日は休診)、平日の来院が難しいご家庭にもご利用いただいています。小田急江ノ島線「鵠沼海岸駅」から徒歩1分です。
小児矯正やマウスピース矯正の費用目安と初診相談のステップ
装置には床矯正、機能的装置、マウスピース型など複数があり、状態によって選択肢が変わります。当院のインビザライン・ファースト(主に7〜10歳ごろが対象)は605,000円(税込・観察料込み)、初回相談料・検査・診断料は無料です。二親等のご家族は2人目以降5万円引きとなる親子・兄弟プランもご用意しています。なお自由診療となるため、費用や通院回数を含めて事前にご説明します。
まずは口腔内スキャナー(iTero)や歯科用CTで現状を記録し、今動くべきか経過を見るかを一緒に整理するところから始めます。判断材料がそろうと、迷いを整理しやすくなります。気になった時点で、一度ご相談ください。
よくある質問
Q. 子供の八重歯は抜く必要がありますか?
A. 八重歯(犬歯)は噛み合わせを支える役割が大きい歯のため、まずは抜かずに並べる方向で検討することが一般的です。ただし歯と顎のサイズ差が大きい場合には、別の歯を含めてスペース確保の方法を考えることもあります。レントゲンなどで顎の中の状態を確認したうえでご説明します。
Q. 八重歯は小学生でも治療の対象になりますか?
A. 小学生の時期は顎の成長を利用できる段階にあたるため、第1期治療の対象として検討できる場合があります。永久歯の生え変わりの進み具合によって適する方法が変わりますので、現状を診たうえでお伝えします。
Q. むし歯を長期間そのままにしていると、どうなりますか?
A. ごく初期の段階を除き、進行したむし歯が自然に元へ戻ることは期待しにくく、そのままの期間が長いほど歯の内部へ進みやすくなります。状態によっては神経の処置や抜歯が検討されることもあります。歯を早く失うと、後から生える永久歯の場所が狭くなる要因にもなります。痛みがなくても、気づいた時点でご相談ください。
Q. 先天性欠如歯(生まれつき永久歯がない状態)をそのままにするとどうなりますか?
A. 乳歯が残っている間は噛む機能を保てますが、乳歯は永久歯より寿命が短く、いずれ抜けることがあります。その後の隙間をどう扱うか、矯正で閉じるのか補綴で補うのかは、年齢や噛み合わせによって方針が分かれます。早い段階で把握しておくと計画を立てやすくなります。
Q. 診療時間と休診日を教えてください。
A. 診療時間は平日9:30〜18:00、土日は9:30〜17:00です。祝日は休診とさせていただいています。平日の来院が難しい場合は土日もご利用いただけます。
参考文献
1. 厚生労働省「健康づくりサポートネット(疾病・健康に関する情報)」 https://kennet.mhlw.go.jp/information/
2. 厚生労働省「健康づくりサポートネット(口腔・歯の健康)」 https://kennet.mhlw.go.jp/information/teeth
飯島歯科医院 勤務医
医療法人社団晃仁会 みなと歯科 勤務医
Ken歯科 院長
医療法人社団湘耀会 Ken歯科 理事長
国際歯周内科学研究会
一般社団法人 日本摂食支援協会
小児歯科学会
老年歯科医学会
神奈川県歯科医師会在宅歯科医療相談医
神奈川県障がい者歯科1次医療担当医
神奈川県歯科医師会
藤沢市歯科医師会
日本糖尿病協会登録歯科医
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