赤ちゃんから1歳6ヵ月頃の歯の健康 ~乳歯が生えてきた!~

母乳を飲んで噛む筋肉を発達させる

赤ちゃんは母乳を吸うとき舌を前から後ろへ波打たせるように動かし、口に含んだ乳首を引っ張ったり広げたりしながら、搾り出すようにして吸います。この口の動きは、後の食べ物を噛む動きにも通じることから、顎の筋肉を発達させ、食べ物を噛むための練習をしていると言われています。顎の筋肉に刺激が与えられることで上手に物を噛んだり、きれいな歯並びになります。もし哺乳瓶を使う場合は、ゴム乳首はなるべくお母さんの乳首に近く、口の筋肉をしっかり使えるものを選びましょう。


寝入り際の飲み物に注意

赤ちゃんとお母さんの母子一体感はとても大切なことです。しかし、乳歯が生え始めた後、寝入り際に母乳を与えることは注意が必要です。前歯に糖分が溜まり虫歯になるケースが多いのです。母乳育児をされているお母さんは、特に念入りに就寝前の歯磨きをしっかりしてあげてください。またこの時期から、少しずつ飲み物をコップで飲む練習を始めましょう。


離乳食は「食べる」基礎作り

離乳食への移行は歯の生える時期や口の発達に合わせて進めましょう。赤ちゃんはおよそ1年間かけて「食べ物を口にふくむ」→「噛んで唾液と混ぜる」→「飲み込む」という食べるための一連の機能を学び、発達させていきます。離乳前後から6歳頃までに味覚が完成するため、幼児期に濃い味や甘い物に慣れてしまうと味覚が鈍くなります。食材の味を確かめ、薄味でも満足出来る食習慣を心掛けましょう。お腹がすき、食欲が出るのを待つことも大切です。時間を気にするあまり無理に詰め込んだり、早く食べさせようとするのは避けましょう。



離乳の上手な進め方

離乳準備期(3~4ヶ月頃)

このころの赤ちゃんは指しゃぶりに始まり、おもちゃ、衣類など何でも口に入れたがります。これは赤ちゃんが食べ物を受け入れる準備をはじめた証拠です。誤飲など危険が無いように周囲の環境を整えてあげましょう。


離乳初期(5~6ヶ月頃)

ドロドロの食べ物を唇で口の中に取り込むことを覚えます。舌を前から後ろに使ってゴクンと飲みます。

  スプーンを上唇にこすりつけて食べ物を流し込むのではなく、 自分の唇で取らせるような与え方をしましょう。


離乳中期(7~8ヶ月頃)

上下の唇で挟み込んで食べ物を口の中に取り込み、やわらかな食べ物を舌でモグモグと押しつぶして飲み込みます。


離乳後期(9~11ヶ月頃)

舌が左右に動くようになり、歯肉で噛める程度の硬さの食べ物をすりつぶして食べます。

  お母さんが噛み砕いた食べ物を与えると虫歯菌がうつる危険性があります。 また箸・スプーン・フォークの共用にも注意しましょう! (※虫歯の母子感染参照)


離乳完了期(満1~1歳6ヶ月)

前歯が生え揃い、その隣の乳側切歯が生えます。自由に舌を動かし歯で噛み潰して飲み込めるようになります。口への詰め込み過ぎや食べこぼしをしながら、噛み切ることや一度に口にふくめる量などを覚えていきます。きれいに食べることよりも、手づかみ食べを積極的にさせ自力で食べる動きの練習をさせましょう。

  1. 過度な甘味・塩味に慣れさせない
  2. お菓子はなるべく与えない
  3. 食後に水を飲ませ、食べかすを口の中に残さない

虫歯の母子感染

虫歯は親から子供にうつる感染症です。生まれたばかりの赤ちゃんの口には、虫歯菌は存在しません。しかし、生まれて間もなく家族、特にお母さんの口の中から虫歯菌が感染してしまうことが多いのです。例えば、お母さんが固い食べ物を噛み砕いて子供に食べさせたり、熱い食べ物を一度口に含んで子供に食べさせたり、親の使ったスプーンで物を食べさせたりすることで感染します。


母子感染の予防

生まれた直後から赤ちゃんのお口の中には様々な細菌が侵入して勢力争いを始めます。この勢力争いはおよそ3歳まで続きます。この時、虫歯菌がお口の中に侵入しなければ、その状態で細菌の生態系がほぼ確立し、それ以降、虫歯菌が赤ちゃんのお口に侵入しても勢力を拡大することは出来ません。しかし、親の唾液が赤ちゃんのお口に入らないようにすることは、母子一体感や家族の愛を深める上では難しいかもしれません。母子感染の予防は、お母さんのお口のケアから始まります。まずお母さんのお口の中を清潔にし、虫歯は早いうちに治療を済ませましょう。お母さんのお口の中の虫歯菌のレベルを下げることで、赤ちゃんへの虫歯菌の母子感染のリスクは軽減されます。



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