みなさんこんにちは。
藤沢市の歯医者【Ken歯科】です。
「せっかく矯正治療を終えたのに、歯並びが戻ってしまった気がする…」
そんな声を保護者の方から聞くことがあります。
矯正治療後には、歯が理想的な位置に並ぶと、見た目も機能も大きく改善されますが、実は“後戻り”と呼ばれる現象が起きるケースもあります。
では、なぜ後戻りが起こるのでしょうか?
そして、それを防ぐためには何が必要なのでしょうか?
今回は、お子様の矯正後に歯並びが元に戻る原因や対処法についてお話させていただきます。
目次
■矯正後に歯並びが戻る「後戻り」とは?
矯正治療で歯を理想的な位置に動かしたとしても、そのまま何もしなければ元の位置に戻ろうとする“後戻り”が起きる可能性があります。
歯を支える「歯周組織」や「骨」は、歯が新しい位置に定着するまでに時間を要するのです。
特に成長期の子どもは、顎の骨もまだ発達途中のため、成長に伴ってかみ合わせのバランスが変化したり、生活習慣が原因で歯が再び元に戻ってしまうことがあります。
■後戻りが起きる主な原因
◎保定装置(リテーナー)を使っていない・使い方が不十分
矯正治療が終わったからといって、治療が「完全に終了」したわけではありません。
後戻りで多い原因が、矯正後に使用する「保定装置(リテーナー)」をしっかり装着していなかったことです。
矯正治療が終わった直後の歯はとても不安定で、そのままにしておくと徐々に元の位置に戻ろうとします。
リテーナーはこの「後戻り」を防ぐために欠かせない装置なのです。
これを歯科医師の指示通りに使用しないと、歯が元の位置に戻ってしまうことがあります。また、使用期間を自己判断で短くしてしまうケースも後戻りの原因になります。
◎悪習慣が改善されていない
指しゃぶり、口呼吸、舌を前に出す癖(舌突出癖)、頬杖などの悪習慣が続いていると、歯並びに悪影響を与えます。
特に注意したい悪習慣
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舌を前歯に押しつける癖(舌突出癖)
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口呼吸(口の周囲の筋肉バランスが崩れる)
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寝るときの姿勢(うつ伏せ)
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頬杖
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頻繁な爪噛み
【対処法】
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悪習慣に気づいたら、歯科医や矯正専門医に相談しましょう。
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必要に応じて「MFT(口腔筋機能療法)」を導入する。
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家族が日常生活の中で見守り・声かけをしてあげましょう。
◎顎の成長バランスの変化
成長期のお子様の場合、矯正治療後も骨の成長が続くため、かみ合わせのバランスが変化したり、歯並びにも影響が出ることがあります。
【対処法】
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成長が安定するまで、定期的な経過観察を受けることが大切です。
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顎の成長を見ながら再調整を検討する場合もあります。
■後戻りを防ぐために大切なこと
◎ 保定期間をしっかり守る
リテーナーの使用期間は、通常、矯正治療にかかった期間分必要ですが、場合によってはそれ以上の長期使用が必要になることもあります。
決められた装着時間を守って保定することが大切です。
◎悪習慣を改善する
舌の位置、呼吸の仕方、姿勢などの癖をしっかり見直しましょう。
口呼吸を鼻呼吸に変える練習や、舌の位置を正すトレーニング(MFT:口腔筋機能療法)などを継続的に行うことで、後戻りを軽減します。
◎定期的な経過観察
矯正治療が終わった後も、定期的に歯科医院で経過を見てもらうことが重要です。
後戻りの兆候が見られた場合、早期対応によって大きなズレを防ぐことができます。
■保定と悪習癖の見直しが後戻りを防ぐカギ
お子様の矯正治療は、見た目だけでなく、かみ合わせや発音、将来的なお口の健康にも関わる大切な治療です。
矯正治療は「歯を動かす」だけでなく、「動かした歯を安定させる」「原因となった習慣を改善する」ことまで含めて、初めて成功といえます。
歯が元の位置に戻らないようにリテーナーをきちんと使う・悪習慣を見直す・必要があれば口腔機能のトレーニングも続けましょう。
お子様の歯並びを長く美しく保つためにも、矯正後のケアやフォローアップをしっかり行うことが大切です。